※このページでは更新情報や、皆さんへのお知らせを少しずつ載せていきたいと思っています。時々お立ち寄り下さい! |
こちらではガーデン荘の身近な話題を、女将の目でご紹介します。 |
女将が 作った 作文?エッセイ???を ご紹介します。 ガーデン荘の情景を 思い出される方もいらっしゃるかも知れませんね!
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はじめての海 はじめにぼくを紹介しよう、名前は金魚の金太。部屋はみんなが食事をする所。囲炉裏もある。夜になると星はキラキラ、ヤシの木には光るきのこも出没する。 そんな窓辺の一段上がった机の上だ。ぼくの家は民宿もしている。 夕食の時、あしたは天気が良さそうだからみんなで海へ行く話になった。 ああー、今年もおばあちゃんは留守番か、誰か訪ねて来ないかなーと考えながら寝た。 朝になって「海へすぐ出発」と大きな声で話しながら5人グループが到着した。 おばあちゃんはたくさん弁当を作っている。おにぎりのにおいだ。 おじいちゃんは車を家の庭まで乗り入れてきて「おにぎり出来たか?もうすぐ出発だ」と言いながら台所に入ってきた。 ぼくに気がついて「おー金太、おまえも行くぞ、ダイビングだ」と言いどこかへ消えた。 ちょっとしたら大き目のびんを持ってきて、これに入れろ言った。 その日はお客さんのほかに、真っ黒になった兄ちゃんの直ちゃんと弟のゆうま、いとこのもえとみつきだ。お父さんもだ。車の中では順番にひざの上でかかえてくれた。 ゴトゴト揺られながら外の景色も見えるし幸せだ。今日は始めての海。体がふわふわ心はうきうきしている。海につくとお父さんが準備体操と言ってみんなに声をかける。 みんなダイビングに挑戦だ。1時間も車の中においてけぼりか。外だとやどかりが来てくれるかもしれないのにとがっかり。 「直、金太をお父さんのところに連れてこい」と大きな声。え!おれも海へ入るのか? どきどき胸が鳴りだした。ぼくの入っているびんをわしづかみにして波うちぎわに立っているお父さんに渡した瞬間、まっさかさまに海の中に入っていった。 ぶくぶく泡だらけだ。海の中はどんな風に泳いだらいいのだ?何とかかんとか、ちょっとしたら慣れてきた。 あたりを見回すと、青い海は塩辛いし、光を受けて青い魚、赤い魚、しましまの魚、それはそれは、数え切れないくらい泳いでいる。 ぼくはその中に入ったら迷子の金魚になりそうだ。 お父さんのお腹にひっついて、海草の中を通りぬけることにして一生懸命泳いだ。 大変だ、しっぽがひっかかってしまった。全身の力をふりしぼってぶるぶると体を揺らした。スポンとぬけて一安心だと思ったら、いそぎんぎゃくが手を伸ばしてきてどきり。するりと横を通り抜けお父さんのボンベの上にたどりついた。今度は楽チンだ。魚も大きいの小さいのが見えるし、電車に乗っているみたいだ。景色もあとへあとへ飛んでいく。 ちょっと楽したから、一人で泳いでみるか。 「みんな一緒だよー」とお父さんの手招き。ちょっと泳ぐのに自身がついたので、きょろきょろしながら泳いでいたら、ぼくより少し大きい目玉の魚が「おーい、おーい」とぴったりとくっついて声をかけてきた。知らん顔をしていたが、あんまりしつこいので「なんだ」と言ったら「お前は見ない顔だがどこから来たんだ?いいやつそうだから、ぼくが案内するからついてこい」と言うではないか。 「初めて来たんだから、今度、今度ね」と言ってロケットのように全速力で父さんの方へ泳いだ。その横をいっぱいの魚たちが行列を作って泳いでいく。おっとこどっこい、迷い金魚になるところだった。 父さんが時計を見て「上るぞ」と大きく手を上げた。直兄ちゃんもゆうまも、もえも、みっちゃんも、お客さんも父さんの後から岸の方へ泳いだ。 おじいちゃんはやっぱりびりかすだ。 みんなが海から上ったのを見届けてから「よかったろー」と声をかけた。また近いうちにくると自信ありげに言った。ぼくも満足でまた来たいと思う。 |
光るきのこ 光るきのこを見つけに、懐中電灯を持って、一人で外に出た。 空には星がふるように出ている。東山のへっこんだところが薄明るくなって、その上を黒い雲がたなびいている。月が出るのか、明るくならないうちに山の上へと行かないと、内心早くなんとかしなくてはとあせってきた。 大きな木や小さな木、草むらの枯れた枝、キョロキョロそして慎重に見ている。 きのこらしき物はない。こんな所にはない。山の奥に入らないと・・と考えながら足早に歩いた。30mぐらい離れているのだろうか、奥の方で瞬間光るものが見えた。 星の光と私の目の中で、一瞬露が光ったのか、いやいやそうではない。 今話題のUFOかと思った。待てよ、山ねこがおれをばかしにきたのでは?ゴクリとツバを飲んだ。 ずっと前のぼくが小学生の頃、ひいじいちゃんの話だが、朝4時頃、ぞっくめをつれて芝刈りに行ったと、途中で牛が一歩も進まなくなって「何やっているんだ、ばかめが。」いつも通る山路だから歩くのに手間取るわけはなく、おしりにムチ打つけれどびくともしない。 前に回り引っ張っても、大声でどなっても動こうとしない。 これは変だ。ポケットにマッチを持っていたのでパチッ、火をつけた。 や、何と鼻の輪っ子に山ねこが手をつっこみ食らいついていた。 正体を人に見られてしまったと思ったか、目を光らせ歯をむきだしにして「ギャオ」と一声出して山の中に消えていったそうだ。 「山では山ねこにばかにされるから気をつけろだら」と聞かされていた。 文明の力懐中電灯であたりを照らした。見えないのに「どなた?」と声が返ってきた。 山で迷った人かと思い「どうしました?ぼくは光るきのこを探しに下の方から来ました。」と言ったら「あなたもですか、東京から来たんですよ。木の根元にあると聞きましたから、しゃがんでいたんですよ。見つかりましたか?」「それがねーだめ。一緒に探しませんか?よかった。すこしさみしかったんですよ、お供していいですか?」「いいですねー。」と返事。「学生さんですか?」ぼくは聞いたが返事もせずに「きのこちゃん」と小さくつぶやきながら、ふふと笑ったようだ。 枝やら竹やら上着にばりばり当たってきた。「こんな所になさそうですよ。下へくだりませんか?」ぼくが言葉で誘導した。家を出るときには、きのこだから湿った大木かなんかの枝に出るか、風通しのあまりない湿った暗いところと考えては来たものの、いざとなるとままならない。 時たま照らす懐中電灯の他は、黒い雲の間からの薄明かりだけだ。 天候がちょっとあやしくなってきたので「下に行こうよ」と言い、どんどん下った。 しばらくして、遠くに人家の明かりが見えた。もうぽつりぽつりと落ちてきた。 「雨具の仕度をしているわけじゃないし、走りましょうよ」と言ったが、小さな石につまづいてずっこけて足を軽くひねってしまった。まったくこんな時に。 雨が強く降ってきたので、大きな葉を広げているビローヤシの木の下で雨宿り。 「いやになってしまいますねー、南国特有でしょう。こんなこと八丈ではしょっちゅうですが。」ずり落ちそうになった上着を「冷えてきましたねー」と言いながら首元まで上げた。 東京から来たという彼が「私、久保といいます」と紹介してくれた。 「夕方6時半頃宿を出てかれこれ2時間半ですよ、うろちょろしたのが。あなたは近くですか?昼間通りですれちがっても、これではわかりませんね。」 ヤシの葉をつたってしずくがぽたぽたと落ちてきた。 「早く上がるといいですね。」と言いながら、しばらくしてぼくが気がついた。 あれは何、目をこらしてみると、かすかに光っているものが木の幹についている。 「いくつもだ、何だろうー?」「どこどこ?」久保さんが懐中電灯で照らした。 やや小さなきのこではないか。大きなものは、かさが1cm、小さなものは5mm、大小さまざまだ。消したり点けたり、2人は目を見合わせた。「やった、やった!」暗闇のなかで手を取り合った。奥のほうへ目を向けてみると、ほんとに、ほたるの光などではなく蛍光灯の光のようにぼんやりと、しかししっかりとあちこちに光っている。 走りよってみた。やっぱりきのこだ。こいつの名前は、自前で調べてきたのか、テンションを上げた声で「イルミナス・マッシュルーム」と学名で言ってのけた。 イルミナスの意味はなんだろう。マッシュルームだけはわかると思った。 植物図鑑、英語辞書を調べればわかる。 固まって生えているきのこに手をかざしてみると、なんと手の生命線までがはっきり見えるではないか。ちょっとさわって、みるとぬるりとしている。 発光物体、これは地球を救うかもしれない・・とてつもない考えが頭をよぎった。 そのうちに雨もやんだか、歯にあたる音もしなくなった。そのかわり風がざわざわと葉っぱをゆらしはじめた。 久保さん「今日は満足。」と言い「ぼく帰ります。」と告げた。 「ぼくも帰ろうかなー、今日はありがとう。」 2人はヤシの林から抜け出した。もう南の方は星も見えた。 大通りへと下って「それではどうも」と言葉を交わし「ラッキーだったね」とあいさつして別れた。 おわり |
おれはめくらへび 「おーい、なにやっているの?」「きめてないよ」木の葉っぱの下をするする進みながらおれは太陽がきらいだから、おまえとは遊ばないとカマキリに言った。 そんなこといわないでと言っているので「おれはな、きらきら光る明るすぎるのは大きらいだ、ごめん」と土の中にもぐっていった。中ではかたい皮をせおったカタツムリがねむっていて、ぶつかりどなられた。土の中にちょっとだけ出て向きをかえた。今度はやわらかそうな土をえらんでもぐった。おれにちょっとだけ似たミミズ君に逢ってあいさつをした。 大きな父さんミミズ、子供のミミズが大家族でいた。明日の天気のことでクイズをしていた。 おれはそんなことは気にしないで、友達のところへ行くことに決めた。 大きな穴がじゃましている。野ねずみピーちゃんの通路だ。上に行こうか、下に行こうかと迷っていたら、誰かがドスンドスンとたたく音がしてきた。 ざっくりざっくりとスコップで大きく掘ってきて、おれ様をいっきに外へ放り出した。 太陽にあたってうろこもようの茶色の体が光った。 鳥にでも食べられたらことだ。畑の横にある家のえんの下にするするともぐりこみ、柱の根っこにからみついた。 上では4、5人の茶のみ話しがはじまっていて、建設会社の社長も来ている。話し方でぼくはわかる。 政治の話と世間の話が中心だが、その話もたねがつきたか、ため息をつきながら社長さんが話し出した。おれはさ、家のにゃんこになりたいよ。「えーえエ」みんなが声をだした。 いっしょうけんめい仕事のことで回ったり、あいきょうをふりまいてふるまったり、ちょっとだけカラオケしたり。あれもこれもビジネスだ。夕方おれが帰ると、きまってちらっとにらむ、奥さんがだ。 何をしてきたのかと言いたいのだ。うしろにねこぜりそうになりながら入ってきて、応接間のイスに手をひろげてすわる。間をかせぐわけさ。 そこへねこのミー子が帰ってきた。ニャーニャーだ。声を聞くなり、みんな立ち上がりおでむかえだ。「おまえはどこにいっていたのか?帰りが遅かったじゃ。心配したよ。早く入れ」と顔に笑みをうかべながら「お前の好きなものがあるよ。」背中をポンポンとかろやかにたたいている。「まったく、おれもミー子になりたい。」嘆き悲しんで話している声がだんだん小さくなった。「相手はねこだろー」となぐさめるみんな。おれも聞いていて次の世ではねこになりたいと思う。 じっとしていたが、行動開始だ。畑の方で落ち葉や草の根っこから食べ物を見つけないとペコペコだ。日かげは湿っていて、好物にありつけた。土の中にもぐって昼寝でもするか。3時になって目がさめた。うーん寝たなと思っていたら、話し声が近づいてきた。学生らしい若そうな声だ。「めくらヘビって知ってる?八丈島にはいるらしいから、見つけようよ。」がさごそ、そこいらをかき回しはじめた。「お前さんたちはどこからおじゃろうー?」と畑の持主のおばあちゃんの声だ。「世にもめずらしい、八丈にはめくらヘビがいると聞いて東京から来ました。」と言っている。 おれは息を殺して土の中にもぐっていた。 おばあちゃんが「ここはわが畑だから、かってにがさごそされてもこまるだ。」と言った。 学生達はすみませんと頭を下げた。 ぼくは胸をなでおろし、おばあちゃんに心の中でありがとうと叫んだ。 帰っていく学生たちにむかって「めくらヘビちゃんを見つけたら、インターネットでうつして見せてやろじゃー。」と声をかけている。 学生達はうしろを振り向いて、頼みますと頭を下げた。 |
あり子ちゃんの一日 小さなありんぼあり子ちゃん。今日はとなりの町まで遠足だ。 太陽が顔を出し始めると、飛び起きて外に出てみる。 さっきまで雨がふっていたのか、土がぬれている。でも草がキラキラ光っていた。 「しめた」と大きな声を出したら、かあさんが顔を出して、お弁当を早く作らないといけないと言ってひっこんだ。 「おむすびとアメがいいなー」とかあさんに聞こえるように言った。 51匹で行くのだ。何時出発だったかなあーと考え、ああそうだ9時出発だと思い出した。 弟のマーちゃんが「お姉ちゃんはいいなー、ぼくも行きたい」とだだをこねている。 お父さんが「マーちゃんも来年は行けるじゃないか」と言ったら、「ほんと、お父さん、ほんと」マーちゃんがうれしそうに笑った。 となりの木の根っこに友達が集まっている。ミーちゃんもモエちゃんも、コーちゃんもナオちゃんも大きなリュックを背負っていた。 しばらくして、さー出発だ。ありんこ先生がピーピピーと笛を鳴らして歩き出した。 先生のかばん重そうだ。「何が入っているのかな?」みんなひそひそ話をしながら歩いた。 だれかが「コロッケ、玉子焼き、肉だんご、からあげかも。チョコレートがいいなー。」 ありんこ先生が、さーさーみんながんばってねと笛を鳴らした。 どんどん歩いていくと、保育園の庭でみんなが自転車に乗って遊んでいた。お花もニコニコして咲いている。 てんとう虫さんが「そんなに大勢でどこへ行くの?」と声をかけてきたので「ぼくたち、となりの町まで行くんだよ」と胸をはって答えた。 「空は青くて大きいなー」と誰かが歌いだしそれにつられ歌いながらどんどん進んで、今度は小学校の横を通っていくと、10人くらいでサッカーをしている。「ボールがあっちこっち飛んでいくので目がまわりそうだよ」ミーちゃんが言うと、モエちゃんが「ほんとね、でもおもしろい。がんばれがんばれ」帽子をふりながらみんなで応援した。 赤とんぼが風を受けて、スーイスイ羽根をきらきらさせながら飛んで、おにやんまの親子がその上を飛んだ。 「赤とんぼとボールとおにやんまの親子がとっても楽しそうに踊っているようね」とターちゃんが言った。 ありんこ先生がピーピピー「お昼にしましょう」と大きな声で。「みんな聞こえましたかー?」 51匹はお昼にすることに決めて、お弁当を開けたら、かあさんのにおいがしてきた。 あり子ちゃんのはおにぎり、玉子焼き、唐揚げだ。ごくりとつばをのんで、胸がキューンンとうれしかった。 ガヤガヤ、ペチャクチャ、いろんな話をしながら「おいしい、おいしいね」と食べている。 しばらくすると、ありんこ先生が「おなかいっぱいになりましたか?お水も飲みましたか?」とみんなに声をかけた。 「ハーイ、ごちそう様」とみんな声をそろえて言った。 寝ころんだり、空を見たり、おしゃべりしたり、飛行機も飛んできた。 また、ピーと笛が鳴った。「出発です」ありんこ先生の声でみんな進んだ。 歩いていくと、大きな3階だてぐらいの鉄塔だ。 「こんな大きなものは初めてだ」と話をしていたら、「今からこの上までみんなそろってのぼりましょう」とありんこ先生。 51匹のありんこはびっくり仰天。「やだやだ」と言い出した。 上ではもっと広い所が見えるんだよ。みんなが見たことのない物がいっぱい見えると言いながらさっさと登り始めた。 誰が先に登るか、51匹は困った。突然ナオちゃんが「ぼく一番に登る」と言って登り始めたので、次々にその後ろを落っこちないようにしっかりと足をつっぱって登った。 とんでもない高いところだ。ありんこ先生は見ないふりをして登っている。それもすごく早くだ。上がって行くと、風もちょうど吹いてきた。 「足をしっかりつけていないと、落っこちるぞー」とコーちゃんが声を出した。 大きいなーと思っていたシイの木の高いのを通り越して、もっともっとがんばって登り、てっぺんに出た。あたりを見回したら、大きなラッパの形をしたものが三つもついている。 これは何物だと思いながら、背を伸ばし明るい方へ目をやると、青くキラキラ光っている。 海だ、白い波も見えるぞ。船も見えるし、もっともっと向こうにはひょう島の形をした島も見える。あの島にはだれか住んでいるのかなー。 いろんなことを考えて、みんなで寝ころんだ。 海の中にはマグロ、イルカ、クジラきっといるよ。 みんなどんな事して遊んでいるかなあ。スーイスーイ、おにごっこかもね。 ありんこ先生が「そうかもね」と言った。 みんな満足したので下りることに決めた。 「今度はとなりの町までいそぎましょう」ピーピピーと笛が鳴り、また歩いた。 途中でちょうちょうに会った。「そんなに大勢でどこに行くの?」と声をかけられたので、「となり町」と答え、ハンカチを持った手をふった。 気持ちよくてがんばって歩いたので、思ったより早く町についた。 町はにぎやかで、ほんとににぎやかで、ぼくたちは踏みつぶされそうだ。 51匹のありんこは、10匹くらいかたまって端っこを歩いた。 赤ちゃんをだっこしたお母さん、背中をまるめたおばあさん、はちまきのお兄ちゃんが「甘い甘いスイカはいかが、300円です」みんなに届くように大きな声を出している。 人があとからあとからやってくる。そんな所を通り抜け、先生が「ここが終点」と言った。 車に乗っていないから終点ではないねと笑った。 「みんなまわって、ホラホラまわって・・・」 もう帰る道はわかっているので気楽なものだ。 木の葉っぱによじ登っていたカタツムリの兄弟もお家に早く帰ろうーと言っている。 空では夕焼け雲がまっかっか。あり子ちゃんの洋服も真赤に染まりそうだ。 「夕焼けこやけで日が暮れて」とみんなで歌った。 どんどん歩いて、朝出発した木の根っこに着いた。 ありんこ先生は「これで楽しかった遠足終わり」と笛を鳴らした。 あり子ちゃんは「また明日、ごきげんよう」と気持ちよく言った。 おわり |
母さんは朝からフル操業だ。お客さんの朝ごはんの支度だ。 6時になると、きまってやってくるねこ母さん。眠そうな目 小さな花たちには鼻を近づけ、おい元気かと声をかけている。 どんどんピーピーピ、なんだか大通りがうるさい。 夕方近くに人間父さんがトイレに入る。にゃんこ母さんがつ
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ガラガラガラ 「ただいまあー」 おや誰か帰ってきたかな? ドタドタ 廊下で音がして、ドスンとかばんを机の上におろす音がした。 兄ちゃんのナオキ、弟のユウマどっちかなと思っていると、立ちはだかったのはユウマ。首を長く伸ばし、僕はニタリと笑った。「お前は元気だな」と言うと、遊びにすっ飛んで行ってしまった。 外ではユウマの友達のコウタちゃんが「おーいおーい」とよんでいる声がしている。 とそのとき、のそりのそりと小さく響く音がした。 あっというまに僕のすいそうを、ごそごそひっかいているではないか。 あいさつなしに入ってくるなんて失礼だ。 そのとき「ニャーオ」じいちゃんのとこの猫。 名前がねこ。おかしいよねーほんとに。 「ニャーオ」とあいさつをした。ぼくは見ないふりをした。 猫のねこはギロリと横目で見た。とたんガリガリ大きな音を立ててすいそうをひっかきはじめ、手をにゅーと入れたと思ったら、大きく背を伸ばし、両手を一気にいれたとたん、僕の家はガチャンと大きな音を立ててひっくりかえった。 ねこは大きな音にびっくりして玄関のほうへすっ飛んでいった。 外に出ると心配になったのか、ニャーオとないている。 あきらめたのか、その声も聞こえなくなってしまった。 ひっくり返されたとき、僕は板の上に投げ出され横腹を打ちつけたので、痛いこと。それでも我慢して部屋の外へ出てみた。 玄関の戸がちょっぴり開いているではないか。 のそるのそる近づいてみると高い段になっている。どうやって降りるか考えた。 一気に飛び降りることもできないし、困った。 いちかばちかで飛び降りることに決めて、一気にすすんだ。 「いてて・・・ててて・・」今度は背中をうちつけた。けれどなんとか降りられた。 降りたけれど目の前は大どうり。 車がブーブーと大きな音を出して通っている。 でも一歩進んでみた。キョロキョロ見回して右と左の車がこないか確かめて一気に進んだ。 向かい側ではねこが顔をつん伸ばして見ている。 早く早くと手招きをしている。やっとの思いで向こう側へついた。ねこがにこにこして ニャオとないた。 「ここいらを俺があんないするよ」といってくれ、「じいちゃんの家へもつれていってあげるし、大切な宝もみせるぞー」と言っている。 思い切ってぼくもついていくことに決め、キョロキョロあたりを見回しながら歩いた。 空は青くて白い雲はもくもく。トンボも飛んでいる。 アリも行列を作ってどこへ行くのかな。カマキリも草にとまっているし、バッタもいた。 「すごーい」友達がいっぱいできそうだった。 ねこがどんどん進んでいくので、アリさんに声をかけるひまがない。 負けないようについていくしかない。 やっとの思いでおじいちゃんの家についた。 おばあちゃんが花をながめて、「きれいねー」と言っている。 にわとりのケン太がおばあちゃんのまわりをぴんぴこはしゃいでいた。その横をとおりぬけ、ねこに案内されて玄関から入ってみると小さな声で「ニャーニャー」と箱の中から聞こえてきた。 おそるおそる近づいてみると、赤ちゃん猫が入っているではないか。 猫のねこ母さんは、「ほら宝物だろう・・」と自慢げにいばっている。
名前はなんというのと聞いたら、「ニャンコ2号」と答えた。 ふさふさしてほんとにかわいいので、うらやましくてためいきが出た。 部屋の中を見回したら、じいちゃんの難しそうな本やレコードが壁いっぱいに詰まっていた。なにがなんだかわからない絵もいっぱいだ。 モシャモシャひげを伸ばしたじいちゃんが入ってきて、「おきゃくさんか?」といった。 ねこ母さんは「ニャン」とへんじをした。 じいちゃんは自分のチョッキのポケットにニャンコ2号を入れておもしろがっていたが、2号をつれてサンポにでかけてしまった。 つまんなくなったので、帰ることに決めた。帰らないと僕のうちで心配するぞと考え、いそいで外に出た。 先回りしてねこ母さんが「またあそぼー」といって見送ってくれた。 大きな声で「うん」と返事をして空を見ると赤い夕焼けだ。 やっとの思いで大どうりについた。 バッタが草の中でないていて、家には電気がついている。 車が通らないのを確かめて、のそ、のそと、急いでわたった。 どきどきしたけれど、わたってしまったら、車がブーブーとはしってきた。 ラッキーだった。 やっとついたのに、玄関の戸が閉まっている。 困ってしまった。 お父さんの部屋が一番近い。戸を「ガタガタ、コツコツ、ガタガタ」とつついた。 おもいっきりだ。くたびれたけど、また「ドンドン、コツコツ、ガタガタ」あきらめないでたたいた。 夜になると、イタチが出るからあぶないぞ・・・。 お父さんが何の音かなーと思い玄関の戸を開けた。前には何にもない。下を見たらもう まいごになって帰ってこないと思っていたカメ太郎ではないか。 「ユウマ、ナオキ、お母さん」とみんなを呼んだ。 お父さんがカメ太郎を抱きかかえ、「心配したぞ、よかったよかった」と言ってくれた。 ユウマとナオキが走ってでてきて、「おー」と歓声をあげた。お母さんが出てきて 「ホーとした」と言った。 「カメ太郎もおなかがすいているから、早くご飯を食べよー」とお母さんが言った。 お父さんが「今度はカメ太郎と一緒に車で遊びに行こう」と言ってくれた。 僕はほんとにうれしくて飛び上がった。 涙がぽろ、ぽろ、いっぱい出た。
おわり
ぼくの名前はニャンコ2号。家族を紹介しよう。 ねこ母さんと、人間のひげのかっこいいおじいちゃん、 ニコニコ顔のおばあちゃん。95才の大じいさん、にわとりのケン太。 そしてどこからともなくあらわれる、ぼくはあまり賛成ではないけれど、 自分たちは家族と思っているイタチのピースケと父さん母さんの3人。 いまのところ9人だ。 今日は朝10時ごろから、ねこ母さんが出かけて、昼になっても帰ってこない。 じいちゃんがごはんを持ってきて「ニャンコ2号、母さんはどこへいった。本当に困ったものだ」とプリプリしている。 「知らないよ」ぼくはしゅんと下を向いた。 「お昼ごはんはサンマの焼いたのとめしだ」といいながら下においた。 今日はめずらしくジュースもある。気を取り直してちょっと手でころがしてみた。 鼻にいいにおいが飛び込んできた。ヤヤ、これはおばあちゃんが今焼いたばかりだなー 食べ始めたら、ほんのりあたたかく、やわらかく、なんと言っていいかわからないぐらい おいしい。じいちゃんは母さんにも食べてもらいたかったのだと思った。 3時ごろになって母さんが帰ってきて、うまそうなにおいがそこいらじゅうに残っていたので、「あーしっぱいした」と言って、少し残っていたジュースをペロペロのんだ。 夜はじいちゃんのあったかふとんにもぐりこんで寝ることにしている。 朝5時ごろになると、足をガリガリ、じいちゃん起きて、ニャオニャオ、 ふとんのまわりをとんだりはねたり、顔をペロペロなめたり。 「うるさい」と言って、ふとんをかぶってしまうじいちゃん。 6時になると決まって、「おれは3時からコケコッコーと働いて、おなかがすいた」と、にわとりのケン太が戸をたたく。 じいちゃんは「しょうがないなー」といいながら起き出した。 みんなの朝ごはんのしたくのためだ。 じいちゃんが外に出ると、スズメがどこからか集まって、おれたちもいると言って、 枝にちょこんととまっている。いつのまにかイタチの家族もいた。 「忙しい、忙しい」と言いながら「じゅんばん、じゅんばん、待ってちょうだい」と言った。 ニャンコ2号はおなかがパンパン。今日は天気もいいし、さんぽに出てみるかと思いながら歩き出した。 ねこ母さんが、「遠くへいくでないですよ」と手を振っている。 この前から考えていた、イタチのピースケから聞いていた、ふしぎな池に行くことに決めた。 みんなが心配するかなと思ったけれど、エイと決めて、そっちの方へ急いで走った。 池につくと、ぼうしをかぶった人がつりをしていた。 ぼくはおそるおそる、池に近づいて首を伸ばしてみると、あららふしぎ。 ぼくにそっくりなねこが池の中にいる。「ぎょあ」とあとずさりした。 でもまた、あのねこに逢えるかなーと思い首を伸ばしたら、またいるではないか。 気持ち悪くなって、池のまわりを上のほうへ行った。 上から見ると、魚がいっぱいいた。 大きな声でぼくは「ぼうしの人には近づくなー、あぶないぞー」と言ったら、こっちの方へ泳いできたので安心した。 ニャオニャオといいながらまわっていると、カエルがぴょんと出てきて、「もう何時ごろ」 と聞いた。「まだぜったいお昼にはならない」と言った。 かえるの家はどこかと聞いたら、大きな池が自分の家だと言う。 ほんとかなーと思ったが、「へえー」と言った。 少し歩いたら、あなぽこがあって、ゴソゴソとザリガニが出てきて、 「見ない顔だなーお前は」といばっている。 あたまにきたので、ガサガサと草をひっかいた。 「おーこわ」と言って引っ込んだ。 「いろいろ住んでいるんだな」と言いながら、走ってみた。そのひょうしに池に転げ落ちそうになった。ぼくは泳げないので、池に近づくのはやめ、じっと見ることにした。 「りゃー」大きな白い鳥が3羽飛んできて、池の中に降りた。 あぶないと思ったとたん、池の中をスーイスイ泳ぎ始めた。 なんと上手なことか。魔法使いかもしれない。けらいにしてもらおうと思ったので、 「おーい鳥の魔法使いさん、ぼくもけらいになったら、スイスイと泳げるかなー」 と声をかけたら、「だめだめ」と言って向こうのほうへ行ってしまった。 つりをしていた人を見たら、なにか釣れたのか、かごの中をゴソゴソさわっている。 釣り上げたとき、「どぼん」と大きな音がしたから、大物だ。かごの中を見せてもらいたかったけれど、やめた。 来た道まで、もうちょっとだ。こんどは池のすみっこに、葉っぱがプカプカ浮かんでいて、その上にいっぱい紫の花が咲いている。カエルがちょこんと座っている。 「あ、カエルだ」と大きな声を出したら、びっくりしたのか、池の中に飛び込んでしまった。 気がついたら、太陽がぼくの頭の上まで来ていた。 もう何時ごろだろうと考えながら、とぼとぼ歩いていたら、知らないおばあさんに出会った。 「あれ、どこの猫だい、お昼だよ早く帰りな」とおこったような声で言った。 わかっているよ、と思ったけれど、「おばあさん、ありがとう」と言って走ったので、 胸がドキドキと音を立てるのがわかった。 ちょっと立ち止まったけれど、もうちょっとのがんばりだと考え、また走った。 じいちゃんが、お昼に帰ってこないと言って、おこってるぞ。 お昼は何だろう。カレーかも。くたびれたのと、お昼ごはんのことで頭がいっぱいになり、歩くのがゆっくりになった。 とたん、向こうから、ねこ母さんが「ニャオニャオ早く来ないと、カレーごはんがなくなるよ」と呼んでいる。 いちもくさんに家に向かって、ダッシュした。 いそいで、食べていると、「おいしいか?こっちに牛乳もあるぞ」 「にゃんこ2号、お前はみかん大好きだったなー、半分あげる」と言って、じいちゃんがくれた。 今日はふしぎなことにいっぱい出会った。お昼ねしてからみんなに話をしようと思いながら、じいちゃんのふとんにもぐった。 おわり
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